柔術コマンド

ブラジリアン柔術&格闘技諸々

脱力

今日は脱力について解説するよ。

 

みんな「脱力」してる? 脱力してる場合じゃないわ! って気に障る人もいるだろうけど、超重要だから是非読んでいってね。

 

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脱力の意義とは...

 

その1

★感受性を磨く

 

生け花を愛でたり、俳句を詠んだりする姿」を想像したなら少しニュアンスが違う。

握りつぶす勢いでアルミ缶を持っても表面の材質は解らないし、ゴキブリを反射的に踏みつぶしてしまうからその本当の感触や動きを理解できない。

 

もちろん潰すことでその物体の強度は知ることができるけど、そんなものはほんの一部分でしかない。

 

何が言いたいかというと、ゴキブリがまだ小さいから圧倒的なパワー差で対処できるわけだけど、これが数倍(物理的な問題は無視)になったら捕まえることも潰すことも困難になる。

 

しかし、よく観察して、どのタイミングで走り出すか、どんな動作や状況の時に羽を出して飛ぶのかを理解していると、例えば巨大化した昆虫を相手にすることもできるかもしれない。

 

話が脱線したけど、相手の動きは実践の中で観察しなければ意味がない。そこで重要なのが「脱力」で、身体が脱力していれば精神も冷静になり、相手がよく見える。

 

僕が高校生まで通っていた合気道の師匠は「自分が無になる、透明になるんだよ」と言っていたけど、今になってようやく少し理解できたと思う。力みをなくすことで、内(自分)に向いていた意識が外(相手)に向くようになる。

 

理想は相手の何手も先の動きを感じ取って制圧すること。けれど、すぐに身につくものではないから日々練習するしかない。

 

あと勘違いがないようにここで確認するけど、「脱力」ってダラーっと腑抜けた状態ではない。筋肉は張っているけど、無駄な箇所が力んだり、必要以上のパワーを注いでいない+意識がコモっていない状態が格闘技でいう「脱力」だと思う。

 

もっと身近な例でいうと、

準備不足で不安な状態でプレゼンに臨む場合は「失敗したらどうしよう」「恥ずかしくて逃げ出したい」など意識がどんどん内向きになり、相手の顔が見えず、自分の原稿を読み切ることにしか集中できない。

 

結果、表情も硬く、臨機応変な対応もできず、一人芝居みたいになって終わる。

 

「脱力」して臨むことができればどうだろうか?

自分の話す内容や評価ではなく、相手の表情や場の雰囲気、時間配分までサッと理解できる。結果、途中で気を利かせた小話を挟んだり、一部の内容を変える・ニーズがありそうな箇所だけ長めに話すなど、より効果的なプレゼンができる。

 

このように、「脱力」は何も格闘技だけの話ではない。

 

プレゼンの例からも解るように、そう簡単にできるものじゃない。練習を重ねることでしか習得できない。

 

話を柔術に戻すと、「脱力」を意識して、なるべく小さな力で相手と接触することでしか養えない能力があるということ。

 

 

その2

★緩急がつく

 

試合中にずっと力み続けていたら疲れるし、なによりペースが一緒だと相手に動作を読まれやすい。「脱力」ができていれば、必要な場面で一気にパワーを使うこともできるし、無駄な消耗もない。

 

これについては分かり易いと思うから短めにするけど、どの格闘技でも「スピード」「パワー」それぞれで緩急をつけることは超大事。打撃でも、一定のパワー、スピード、リズムで殴ってきたら素人でもカウンターを狙える。

 

柔術でも同じで、リズムを変えずにパスガードをしていたら簡単にスイープを食らう。

 

以上、「脱力」について長々と書いてみたけど。

 

脱力を会得するには前提条件があって...

 

☆思いっきり力んで、パワーのぶつかり合いを経験すること

 

要は「力むチカラがないと脱力もない」って話。

筋トレ、ガチスパーと平行して「脱力」も意識するのが最適かな。